日本が今、国策として観光立国となることを強力に推進している観点からも、不動産投資の中でも「ホスピタリティ事業(ホテル・旅館ビジネス)」は中長期的にみて魅力的な投資対象といえます。
ただ、ホスピタリティ事業は景気動向や外部環境の影響を受けやすいという性質を持っています。
ホテルによっては所有・経営・運営が分離していたり、固定費負担が重かったり、賃料体系が複雑であったり、というデメリットもあります。
ホテルや旅館の投資のメリットとして、営業権付き売却をすれば多くのキャピタルゲインを得られることや、賃貸マンションより運用益が得やすかったりということがあります。
最近では、低位金利ローンを利用して物件を購入後、賃貸運用で安定した家賃収入を得る「現物不動産投資」スタイルが個人投資家の間では主流になっているようです。
一方でJ-REIT(リート)のように投資法に基づいて複数の投資家が間接的に不動産投資する「不動産証券化商品」する手法もあります。
ホテル・旅館の経営においてキャッシュフローが重要です。
莫大な投資を必要とする装置産業であるホテル・旅館経営で最も重要であるといえます。
上記の二つのキャッシュフローが、借入金の返済、金利、税金を支払うための原資となります。
魅力的なホテル・旅館であり続けるためには、計画的な設備投資が欠かせません。
リノベーション、改装を継続的に行う必要があります。そのため、自己資金だけで賄うことはできない場合は、通常は銀行からの借入に頼らざるを得ません。
その際、確実な返済計画が必要になってきます。
そして、その「確実な返済計画」をたてるためには、「確実なキャッシュフロー」が必要、ということになります。
「確実なキャッシュフロー」を生み出すためには、どうしたよいか。
それは、いかに集客力をたかめるのか?いかに顧客満足度を上げていくのか?いかに効率的なオペレーションによりコスト低減を図るのか?ということを突き詰めていくことにほかなりません。
ホテル・旅館件数は年々増加してきており、結果としてホテル1軒当たりの売上は減少傾向にあります。競争は激化しています。
市場規模は1兆円超で安定的に推移しているため、同業でつぶし合っていると状況ともいえますね。
こんな状況の中、外資系のファンドが財政状態の悪化したホテル・旅館の買収を仕掛けています。
国内でもホテル・旅館等への投資に積極的であり、今後も収益性の見込まれる物件への投資件数は増えていくものと考えられます。
ホテル・旅館のM&Aについて、メリット・デメリット双方から見てみましょう。
1.物件調査→2.価格査定、譲渡目標価格の設定→3.取得者募集→4.取得候補者決定→5.譲渡契約締結→6.クロージング→7引き渡し
M&Aを行う場合はその会社のすべてを引き継ぐことになりますので、譲渡会社の債権、債務の事前調査が必要です。
また、旅館業許可の内容も確認しておきましょう。
許認可が正当なものかどうか。
許認可後に違法状態に陥っている場合が稀にあります。
その場合、その違法性までM&Aすることによって引き継いでしまうことになりますので注意が必要です。
ホテル・旅館の売買には、通常の不動産売買のときの重要事項説明書には記載されないような許認可があります。
一つでも欠格要件があると事実上営業ができないことになってします。
また、ホテル・旅館の売買の特有な注意事項としては設備関連についてが挙げられます。
水回り(温泉の場合の井戸ポンプなど)には、特に注意が必要です。 (温泉に入りにきたのに温泉が出ないとなるとお客様はどう思うのか。。。)
ホテル・旅館購入の際には、設備に関してチェックを行い、物件の査定を行うべきです。
チェック項目としては、消火・厨房・上下水道・温泉・ボイラー・電気、等です。
不動産売買を行い、不動産は購入できたとしても、旅行業許可が取得できないのであれば営業ができません。
以前、正当に旅行業許可が取得されている場合でも、営業者が変わる場合には現在の条例等が適用される場合があります。以前とは異なる許可基準ができていたりすると、それが適用されることによって旅行業許可が取得できないということになります。
昔、旅行業許可を取っているからといって安心することなく、現時点での条例等に適合しているのかどうか、十分に調査しましょう。
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不動産投資情報局