不動産賃貸の更新料とは、賃貸借契約が満了したときに貸し主と借り主が合意で契約更新する際、借り主から貸し主に支払われる代金のことを言います。
商習慣として一部の地域に根付いた制度であり、その意味合いは礼金などと同じく貸し主に対する借り主の感謝を示したものと解釈されます。
不動産投資家にとっては美味しい収入源とも言えますが、借り主にとっては支払義務があるのか若干問題のある費用です。
契約更新の手続きの対価や安すぎる家賃の補填分などとされる更新料ですが、その金額についてはっきりとした決まりはありません。
家賃の1カ月分を更新料に設定する契約が多いですが、地域によっては2カ月分や0.5カ月分というところもあります。
西日本には更新料の習慣がない地域も多いようです。
実際、「借り主は更新料を支払う義務がある」というような法律は存在しておらず、その金額も慣例的に決まる部分は大きいものの大家の一存で設定されます。
そのため、ときどき借り主から「更新料など支払う義務はない」と裁判が起こされることもあり、不動産投資家も真剣に考えなければならない問題です。
過去の裁判の判例から考えるに、更新料の支払義務については、賃貸借契約書で取り決めがあるかどうかがポイントになるようです。
更新料の支払いについて賃貸借契約書に条項がない場合、裁判では借り主に支払義務はないと判断されるでしょう。
一方、更新料について契約書の条項に定められている場合、借り主には支払義務があると判決が下されることが多いようです。
ただし、契約書に定めているからといって、更新料の金額をいくらでも高く設定できるわけではありません。
たとえば、更新料として家賃3カ月分の支払いを求めても裁判を起こされると認められることは難しいです。
更新料の金額の妥当性はこれまで何度も裁判で争われてきましたが、平成23年の最高裁の判決では、居住用物件で契約期間2年の場合、家賃1カ月分の更新料は有効とされました。
1カ月分でなければいけないというわけではなく、不当に高額な更新料でなければ妥当というものです。ですので、家賃2カ月分の更新料でも妥当性が認められる場合はあります。
しかし、3カ月分以上となると不当に高額と判断されると考えてよいでしょう。
家賃以外の収入源として、更新料は貸し主にとって貴重な存在ではありますが、必ずしも借り主に支払いを求めることのできない費用です。
最近では、供給過多から更新料無料を売りにする物件も増えているため、今後は徐々に廃れていく習慣であると考えられます。
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不動産投資情報局